芳珠記念病院では、金沢大学附属病院と共同で原発性アルドステロン症治療を行っています。
手術で治る高血圧~原発性アルドステロン症~
日本人の高血圧推定患者数は、4000万人。およそ3人に1人が高血圧といわれています。高血圧は、そのほとんどがはっきりとした原因がわかっていません。しかし、高血圧の中でも、検査をすれば原因が分かるものもあります。原因が分かれば治療方法も異なってきますし、中には手術で治る場合もあります。これらは“二次性高血圧”と言われ、高血圧患者数のおよそ10人に一人が該当します。(原因がわからないものを“本態性高血圧”と言います)
原発性アルドステロン症の位置づけ
二次性高血圧には色々な疾患がありますが、そのほとんどが“原発性アルドステロン症”と呼ばれる疾患と言われています。原発性アルドステロン症は、以前は稀な疾患と思われており、難病にも指定されていますが、最近では、日本で200万~400万人いるとも言われ、新聞等でも大きく紹介されるようになりました。では、この原発性アルドステロン症とは、どういった病気なのでしょうか。
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原発性アルドステロン症とは?
原発性アルドステロン症は、アルドステロンというホルモンが体内で過剰に分泌されることで引き起こされる高血圧症で、その多くは、副腎(腎臓の上にある小さな臓器)にできた腫瘍が原因です。副腎に腫瘍ができることで、なぜ過剰に分泌されるかはまだわかっていませんが、腫瘍がある副腎を摘出することで、血圧の改善が見られるだけでなく、降圧剤を全く服用しなくても良くなる場合もあります。若い年齢で高血圧になる方に、多く見られます。
原発性アルドステロン症のリスクは?
過剰分泌されたアルドステロンは、動脈硬化の原因にもなり、脳卒中や心筋梗塞、心不全、不整脈、腎不全等の疾患を引き起こす危険性が非常に高くなると言われています。逆を返せば、この原発性アルドステロン症を治療すれば、脳卒中や心筋梗塞、糖尿病等の疾患を予防ができるということでもあります。それも、早期に治療すればするほど、予防の効果は高くなります。少しでも多くの方に、この病気を知っていただき、特に働き盛りの皆さまに診療を受けていただくことで、健康で働ける社会づくりにも貢献したい────これが私たちの考えです。
原発性アルドステロン症の治療で予防
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原発性アルドステロン症の診断から治療まで
あなたが、もし、現在すでに高血圧の治療を受けていたとしても、原発性アルドステロン症である可能性があります。原発性アルドステロン症の診断は、簡単な血液検査から始まります。初めて高血圧と診断された方だけでなく、治療中の方も、ぜひ一度検査を受けることをお勧めします。
診療の流れと、かかる時間は?
原発性アルドステロン症と診断されるまで、そして診断されてから完治するまでは、決して簡単な道のりではありません。人によって差はありますが、少なくとも2~3ヶ月かかります。すべては“質の高い医療の提供”のため────私たちの強い思いがそこにあります。
診断から治療までのおおまかな流れは以下の通りです。
 原発性アルドステロン症の疑いがあるかを調べる最初の検査です。採血でホルモン測定を行い、ARRという値を算出します。ARRが200以上の場合は原発性アルドステロン症の疑いがあり、次のステップへと進みます。
 なお、高血圧の薬をすでに服用されている方の場合、ARR測定前に内服の変更が必要になることがあります。受診の際は、服用中のお薬が分かるものをお持ちください。
★来院回数:2回
★検査から結果説明まで:2週間
★薬剤変更が必要な場合は、内服変更後検査までに2週間必要
 ARRが200以上の場合、本当に原発性アルドステロン症かどうかを確認するため、負荷試験を実施します。負荷試験とは内服や注射で薬剤を投与したときのホルモンの反応を見る検査です。原発性アルドステロン症診断のための負荷試験には下記のようなものがあり、これらを組み合わせて診断します。また副腎に異常がないかを腹部CT検査で確認します(参考所見)。
 ●カプトプリル負荷試験
 ●立位フロセミド負荷試験
 ●ACTH負荷試験
 当院では、これらを順番に実施していきますが、1つ以上が陽性になれば原発性アルドステロン症と考えて、次のステップへ進みます。また、原発性アルドステロン症を否定するためには2つ以上の検査で陰性(正常)であることが望ましいといわれています。
★来院回数:2回以上(負荷試験は1日1つしか実施できません)
★検査所要時間:午前中2時間~3時間程度(午前中半日かかるとお考えください。)
★検査から結果説明まで:2週間
 負荷試験が陽性の場合は原発性アルドステロン症と診断されますが、これだけでは手術で治るかどうかは分かりません。
 手術で治るタイプは「片側性」、内服で治療するタイプは「両側性」と呼ばれますが、両者を区別するためには副腎静脈サンプリングという入院による検査が必要になります。
 手術を希望されない場合は、それ以上検査をする意義が低いため、そのまま内服治療となりますが、手術を希望される場合には、腹部造影CTを行ったうえで副腎静脈サンプリングという検査を行います(当院では2泊3日入院)。
 その結果、片側性と分かれば手術をお勧めします。両側性であれば内服治療になります。
★入院期間:2泊3日(木~土)
★検査から結果説明まで:2週間
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原発性アルドステロン症の手術
検査の結果、片側性の原発性アルドステロン症であると診断された場合は、腹腔鏡下副腎摘出術によって、原因となる副腎を摘出することができます。腹腔鏡下術とは、腹部に4箇所だけ小さな穴を開け、そこから腹腔鏡(棒状のカメラ)と手術器具を入れて、モニター画面を見ながら行う手術です。傷が小さく術後の痛みが少ない、回復が早いので入院期間が短い等の優れた点があります。当院では、手術前の検査も含め、わずか1週間程度の入院になります。また、当院の腹腔鏡下副腎摘出術に要する時間は、実績で、一般的な手術時間のおおよそ3分の2と、短いものです。高度な技術を有する外科科長と、その技術を引き継ぐ医師たちが、チームで手術にあたっています。
手術以外の治療法
副腎は左右両方にあり、両方からアルドステロンが過剰分泌されている場合があります。これを“両側性”と言います。副腎は片方しか摘出できませんので、この場合は内服治療になります。また、片側性の原発性アルドステロン症でも、手術を希望されない場合は、内服治療を行うこともできます。過剰なアルドステロンの作用を抑える降圧剤を使用します。

手術と内服治療、いずれにしても早期発見、早期治療が何よりも大切です。
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院内体制
当院では、内分泌・代謝内科と外科、泌尿器科、循環器内科、放射線科、病理科と、複数の専門医師、看護師、検査技師、放射線技師が、チームを組んで診療にあたっています。
内分泌代謝内科医
原発性アルドステロン症はもちろん、糖尿病・甲状腺といった内分泌代謝疾患を中心に担当します。

臼倉 幹哉
(専門医)

米田 隆
(専門医・非常勤)
若山 綾子
(専門医)

豊田 洋平
AVS検査チーム
内分泌代謝内科・放射線科の共同作業体制が確立しています。

奥田 実穂
(放射線科)

井田 正博
(放射線科・非常勤)

臼倉 幹哉
(内分泌代謝内科)

米田 隆
(内分泌代謝内科・非常勤)
若山 綾子
(内分泌代謝内科)

豊田 洋平
(内分泌代謝内科)
腎・副腎外科チーム

佐久間 寛
(外科)

吉光 裕
(外科)

水野 剛
(泌尿器科)

新保 敏史
(外科)
腹腔鏡下副腎摘出術のみならず、腎臓疾患に対しても幅広く腹腔鏡下手術に対応しています。外科・泌尿器科の合同チームです。
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お問い合わせ
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リンク
こちらのホームページにも、原発性アルドステロン症についての情報が掲載されています。
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